「筋トレならプロテインでしょ?」「いや、やっぱり食事からが基本」──どちらも聞いたことがあるやり取りだと思う。実際、ぼく自身もトレーニングを始めたばかりの頃、シェイカー片手に「これって必須なんだろうか?」と首をかしげていた。
答えを一言で言えば、どちらが効率的かはシーン次第。まずはタンパク質の基本から整理していこう。
目次
タンパク質の基本と必要量
タンパク質は筋肉だけじゃなく、髪・爪・皮膚・血液・酵素・ホルモンといった体のあらゆる部分に関わっている。まさに「体をつくる基礎資材」だ。
1日に必要な量は、一般的な成人で体重1kgあたり1.0g前後。筋トレやスポーツをしている人なら1.2〜1.6gが推奨される。たとえば体重60kgの人なら、60〜100gを目安に摂るといい。
つまり大切なのは「まず必要量を満たすこと」。それをどう満たすかで「プロテイン」と「食事」の出番が変わってくるんだ。
プロテインの特徴とメリット
プロテインパウダーは、乳清(ホエイ)、カゼイン、大豆などを原料にした高純度のタンパク質補助食品。
- 吸収が速い(特にホエイは30分〜1時間で血中アミノ酸濃度がピークに)
- 一杯で20g前後のタンパク質を摂れる
- 脂質や糖質を抑えつつ「タンパク質だけ」を効率よく補給できる
研究でも「トレーニング直後にホエイを摂取すると、筋タンパク合成が高まる」と報告されている。まさにスピードと効率を武器にした存在だ。
ただし注意点もある。ビタミンやミネラル、食物繊維などは含まれていないため、あくまで「タンパク質だけの補給」に特化している。長期的にこれだけに頼ると、栄養の偏りが出やすい。
食事由来のタンパク質の強み
肉・魚・卵・豆類など、食事からのタンパク質は「プロテインにないもの」を多く含んでいる。
- 鉄・亜鉛・ビタミンB群:筋肉合成やエネルギー代謝に不可欠
- 脂質や食物繊維:ホルモンバランスや腸内環境を支える
- 咀嚼と消化:満腹感を与え、食欲コントロールに役立つ
スポーツ栄養学でも「food-first(まず食事から)」が基本方針とされている。つまり、日常のベースは食事由来のタンパク質であり、プロテインはあくまで補助カードなんだ。
👉 参考:Sports nutrition – Wikipedia
質で比べる ― PDCAASとBVスコア
タンパク質の「質」を測る指標としてよく使われるのが PDCAAS(タンパク質消化吸収補正アミノ酸スコア) と BV(生物価) だ。
簡単に言えば「体がどれだけ効率よく利用できるか」を示すもの。
以下の表に代表的なタンパク源をまとめた。
食品・サプリ | PDCAAS | BV(生物価) | 特徴 |
---|---|---|---|
ホエイプロテイン | 1.00 | 約104 | 吸収最速・必須アミノ酸が豊富 |
カゼイン | 1.00 | 約77 | 吸収がゆっくりで持続型 |
卵 | 1.00 | 約100 | 「完全栄養食」。ビタミン・ミネラルも豊富 |
牛乳 | 1.00 | 約91 | カルシウムも同時に摂れる |
大豆(ソイ) | 1.00 | 約74 | 植物性タンパク質の代表格 |
鶏肉 | 0.92 | 約79 | 低脂質高タンパク、食事の基本にしやすい |
米 | 0.59 | 約64 | 単体では低いが、豆類と補い合える |
👉 出典:FAO/WHO報告、Protein digestibility corrected amino acid score – Wikipedia
この表からわかるのは、プロテイン=質が高いのは事実。でも、卵や牛乳、鶏肉、大豆といった日常の食材も十分に高品質なタンパク源なんだ。
シーン別での使い分け
効率的に体に活かすには「どちらか一方」ではなく、状況に応じて切り替えるのがベスト。
- トレーニング直後
→ 吸収が速いホエイプロテインが理想的。30分以内に20〜30gが目安。 - 忙しい朝や移動中
→ シェイクで手軽に補給。食欲がないときにも使いやすい。 - 普段の食事
→ 肉・魚・卵・豆類などで栄養バランスごと取り込むのが基本。 - ダイエット中
→ 食事由来のタンパク質で満腹感を得ながら、足りない分をプロテインで調整。
👉 チェックリスト:
- □ プロテインは「間に合わないとき」の助っ人として使えている
- □ 食事から1日2/3以上のタンパク質を摂れている
- □ 必要量(体重×1.2〜1.6g)を意識している
- □ プロテインを飲むときも水分や他の栄養とセットで摂っている
3つ以上当てはまれば、もう賢い使い分けができている。
過剰摂取の注意点
タンパク質は「多ければ多いほどいい」わけではない。
- 必要量を大きく超えても筋肉の合成効率は頭打ちになる
- 余剰はエネルギーや脂肪に回るか、尿として排泄される
- 腎臓や肝臓に不安がある人は、過剰摂取が負担になるリスクも
だからこそ「まず必要量を満たす」→「不足分をプロテインで補う」が理想なんだ。
まとめ|正解は「どちらか」ではなく「両方の使い分け」
- プロテイン=スピードと効率の切り札
- 食事=栄養バランスと満足感を兼ね備えた基盤
- 「効率的」とは、目的やシーンに合わせて選べること
今日プロテインを飲んだ日も、食事でしっかり噛みしめた日も。積み重ねはすべて未来の自分をつくっていく。
ちなみに、プロテイン餃子なんていうのもあるよ。
これでいいとこ取り…してみる?