賢者タイムの話をしようか。
ここまで読んでくれているきみなら、きっと一度は感じたことがあるよね。
事が終わったあと、急に
やる気が消える
虚しくなる
なんで自分はこんな事をしているんだろう
って、胸のあたりが少し冷たくなる時間。
世間では、それを軽くネタにして賢者タイムって呼んでいる。
でもね、ぼくは知っているよ。
あの時間の裏には、ちゃんとした意味があるし、静かにきみを守っている働きだってあるんだ。
だから今回は、
賢者タイムを笑い話としてではなく、
きみ自身を理解するための大事なヒントとして、いっしょにほどいていきたい。
きみは決しておかしくない。
むしろ、その揺れを感じているだけ、心も体もちゃんと動いているんだよ。
ここから、ゆっくり話していくね。
目次
賢者タイムは敵じゃない。心と体が静かに戻る時間の使い方
まず、はっきり言っておきたいことがある。
賢者タイムは、壊れたサインでも、意志の弱さでもない。
心と体が、強い興奮状態からゆっくり日常に戻ろうとしている、その途中の時間なんだ。
興奮と快楽のピークを超えると、脳内のホルモンや神経伝達物質は大きく切り替わる。
その結果として
何もしたくなくなる
急に冷静になりすぎる
虚しくなる
好きなはずの相手にも距離を感じる
こうした反応が現れる。
もしきみが、賢者タイムのたびに自分を責めているなら
それは、自分の自然な反応を誤解して、ずっと一人で責め続けてしまっているということ。
ぼくは、それを少しでも軽くしたい。
だからこの記事では、
賢者タイムで心と体に何が起きているのか
そこで生まれる自己嫌悪や空虚感はどこから来るのか
あの時間をどう使えば、自分をもっと楽に扱えるようになるのか
これを、きみと一緒に見ていく。
賢者タイムは、きみを裁く時間じゃない。
ちゃんと扱えば、きみを守る時間にもなるんだ。
賢者タイムとは何か。ピークのあとに訪れる静かな揺り戻し
賢者タイムって、そもそも何なのか。
ここから整理してみよう。
大ざっぱに言うと、賢者タイムは
性的なピークのあと、心と体が急速にクールダウンしながら、元の状態に戻っていく時間帯
だと思ってくれていい。
さっきまで強く働いていた
興奮
性的なイメージ
身体感覚への集中
こうしたものが、いっきに静まっていく。
そのとき、脳内では
快楽に関わる物質が下がり
眠気や脱力を起こす物質が増え
危険から身を守るためのモードが少し働く
そんな変化がいっぺんに進んでいる。
だから、きみが感じる
全部どうでもよくなる感じ
触れられたくない感覚
相手から離れたくなる気持ち
自分が急に汚れたように感じる感覚
それは、どれも心と体の切り替えが生んでいる一時的な現象なんだ。
本質的には、賢者タイムは悪でも異常でもなく
刺激からきみを守るための、自然なブレーキでもある。
問題は、そのときに
きみが自分をどう解釈するか
なんだよね。
賢者タイムでよく出てくる感情たち
ここからは、賢者タイムのときに多くの人が感じやすい感情を、
ブレイブ目線で、一つずつほどいていくね。
一気に冷めるような虚しさ
さっきまで高ぶっていた気持ちが、急速に冷めていく。
その落差が大きいほど、空虚感は強くなる。
なぜかというと、
興奮していた時間は、ある意味で現実逃避にもなっているから。
不安
仕事のストレス
孤独
自己肯定感の低さ
こうしたものを一時的に忘れていられるのが、興奮のピークなんだ。
それが終わると、隠れていたものが一気に顔を出す。
だから「急に虚しい」と感じる。
きみの中身が空っぽだからじゃない。
ただ、隠していた気持ちが、戻ってきただけなんだよ。
自分を嫌いになる感覚
賢者タイムで
なんでこんなことしているんだろう
自分は弱い
情けない
と、自分に強い言葉を投げてしまう人も多い。
これは、
頭が冷静になった瞬間に、社会的な価値観や過去の怒られた記憶が、いっきに戻ってくるから。
性に関することは
恥ずかしい
隠すべき
きれいじゃない
そんな空気の中で育ってきていると、
快楽を求めた自分を、瞬時に裁いてしまう。
でも、本当は
欲求自体は自然なもので
それをどう扱うかが学べていなかっただけ。
きみが悪いのではなくて
教えてもらう機会がなかっただけなんだ。
相手に対して急に距離を感じる
パートナーと一緒にいるときの賢者タイムでは、
相手に優しくしたい気持ちと同時に
距離を取りたくなる気持ち
が混ざることもある。
それは、自分だけの問題じゃなくて
体がクールダウンするために、一時的に「刺激源」から距離をとろうとする自然な反応でもある。
ここで大事なのは、その感覚が起きること自体を責めないこと。
大切なのは
そのあとどう振る舞うか
どんな言葉を選ぶか
なんだ。
きみが優しさを忘れなければ、それで十分だよ。
心と体で何が起きているのか。賢者タイムの裏側
賢者タイムをただの気分の問題として扱うと、
どうしても「自分が弱いからだ」という結論になりやすい。
だからここで、少しだけ科学寄りの話をしよう。
難しい言葉は使わないから、このまま一緒に読んでほしい。
急ブレーキをかける体の仕組み
性的なピークの直前までは、
交感神経と呼ばれる、興奮や活動のスイッチが強く働いている。
ピークを超えたあと、体はそこから急速に
副交感神経という、休息と回復のスイッチに切り替わろうとする。
この切り替えが大きくて速いほど
やる気が消える
何もしたくない
考えたくない
そんな感覚になる。
きみの意思が弱いからではなくて、
体そのものが「これ以上は負担が大きいから休もう」と判断しているんだ。
ホルモンの揺れ
ピークの前後には、
快楽に関係するホルモン
安心感をもたらすホルモン
眠気や脱力を生む仕組み
こうしたものが、一斉に入れ替わる。
ピークに向かうときには、
期待
興奮
快楽
を増やすための物質が増え、
終わったあとは
過剰な興奮を落ち着かせる方向に切り替わる。
この波が大きいほど、感情の落差も大きくなる。
だから、賢者タイムで揺れるのは、きみの性格のせいじゃない。
脳と体が元に戻るために動いているだけなんだ。
心の「後から来る反応」
もう一つ大事なのは、
理性が追いついてくるタイミング。
興奮しているときは、思考より本能が前に出やすい。
終わった瞬間、
冷静な自分
道徳的な自分
社会的な価値観に従う自分
こうした部分が、一気に前に出てくる。
その結果、さっきまでの自分と今の自分とのギャップが
恥ずかしさ
後悔
違和感
として現れるんだ。
でもね、そこには一つすごく大事な事実が隠れている。
きみは、本当はちゃんと優しさも理性も持っている。
だからこそ、あとから違和感を感じる。
それは、きみの中の大事な一部なんだ。
賢者タイムで自分を傷つけないための視点
ここからは、賢者タイムに入ったときに
自分を必要以上に傷つけないための視点を、いくつか渡しておきたい。
これは「終わり」ではなく「余韻」だと知る
まず最初に、賢者タイムは
気持ちと興奮が終わったあとの、空っぽな時間ではない
ということを覚えていてほしい。
実際には、
体の中ではまだクールダウンと調整が続いているし
心の中では、さっきまでの感情を整理するプロセスが進んでいる。
つまり、そこは
何もない空白時間ではなくて
見えないところで整備が進んでいる時間
なんだ。
終わったから価値がない時間ではなくて
切り替えのための大事な余韻。
そう思えるだけでも、自分への見方は変わってくる。
浮かんでくる思考を「本音」と決めつけない
賢者タイムのときに浮かんでくる考えは、
心も体も極端に揺れている状態で生まれたもの。
だから例えば
自分はだめだ
こんなことをしている自分には価値がない
誰にも愛されない
こういう言葉が浮かんできても、
それを即座に真実だと決めつける必要はない。
揺れているときの言葉は、
ただの揺れに過ぎない。
感情が落ち着いたあとに、
あれは揺れていたから出てきた考えだったな
と捉え直せれば十分なんだ。
パートナーがいる場合の一言
もし、パートナーと一緒のときの賢者タイムで
急に距離を感じてしまったり
触れられたくない気持ちが出てきたら
何も言わずに離れるのではなくて
少しだけ休ませてね
今すごく力が抜けてぼんやりしてる
こんなふうに、一言だけでも伝えられると、
相手は不安になりにくい。
賢者タイムの感覚そのものはコントロールできなくても
そこで交わす言葉は、きみが選べる。
そこに、きみのやさしさと大人の部分が宿るんだ。
賢者タイムを「自分を知る時間」に変える
ここからは、ぼくが大事だと思っている視点を一つ渡したい。
賢者タイムは、自分を責める時間ではなく
自分を知るための時間にもできる
ということ。
何を埋めようとしていたのかをそっと眺める
終わったあと、もし気持ちに余裕があるなら
こんな問いを、頭の中でそっと浮かべてみてほしい。
自分はさっき、何を埋めようとしていたんだろう
退屈だったのか
孤独だったのか
不安だったのか
誰かに認めてほしかったのか
それを責める必要はない。
ただ、眺めるだけでいい。
そのうちに、
自分は疲れているときに性欲に逃げやすいな
孤独を感じた夜ほど、衝動が強くなるな
そんなパターンが見えてくる。
これに気づけたら、きみはもう
性欲に振り回される側から
自分の状態を観察する側に、一歩移動できている。
賢者タイムに浮かぶ言葉をメモしてみる
少し勇気がいるかもしれないけれど
心の揺れがきつくない日に、賢者タイムに浮かんだ言葉を
スマホのメモに一行だけ残してみるのもおすすめだよ。
例えば
自分を汚く感じた
虚しい
本当は誰かと話したかった
眠れていない
そんな断片でいい。
あとで見返すと
自分はこういう状態のときに、こういう気持ちになりやすいんだな
と気づける。
それは、自分を理解するための大事な材料になる。
休むか、整えるかを選ぶ
賢者タイムのとき、きみができることは
二つだけでいい。
しっかり休む
少しだけ整える
どちらを選んでも大丈夫。
心も体も限界に近いときは、ただ寝る。
もう何も考えたくないなら、それでいい。
もし少し整える余力があるなら
深呼吸を数回する
水を一杯飲む
短いシャワーを浴びる
部屋の明かりを少し落とす
こんな小さなことだけでも、
次の自分が少し楽になる。
賢者タイムは、反省会をする場ではない。
自分をいたわるか、自分を整えるか。
それを選ぶ時間なんだ。
実践的なケア。賢者タイムのあとにできる小さな行動
ここまで読んで、
それでもやっぱり賢者タイムが苦しい
というきみのために、
ぼくからいくつかの実践ケアを渡しておくね。
全部やる必要はない。
一つでも、できそうなものを選んでほしい。
深く、静かな呼吸を数回
いちばん簡単で、いちばん効くのは、呼吸だよ。
鼻から四つ数えて吸って
口から六つ数えながらゆっくり吐く
これを三から五回だけ。
それだけで、
交感神経から副交感神経への切り替えがスムーズになり、
心臓の鼓動と胸のざわつきが少し落ち着いてくる。
ぬるめのシャワーか入浴
もし可能なら、
ぬるめのシャワーや、軽くお湯につかるのもいい。
体の表面についた余韻を
お湯で軽く流すイメージで。
大げさな浄化ではなくて
今までよく頑張ったね
と自分の体に言ってあげるくらいの気持ちで十分だよ。
水かノンカフェインの飲み物を一杯
賢者タイムのとき、体は意外と脱水状態だったりする。
軽く水かノンカフェインの飲み物を一杯飲むことで、
血流も落ち着きやすくなる。
自分の喉を潤す行為は
自分を大事に扱う行為でもある。
スマホから少し離れる
終わったあと、ついまたスマホに逃げたくなるけれど
心が揺れているときに情報を浴びると、
自己嫌悪は強まりやすい。
できれば数分でもいいから、
画面から目を離して、
天井か床か、なにもないところをぼんやり眺めてほしい。
空白の数分が、次の言葉を優しくしてくれる。
眠ることを選ぶ
どうしても苦しいときは、もう何もしなくていい。
そのまま眠りに落ちてしまっても、全然かまわない。
睡眠は、心と体のいちばん深いところで
リセットをかけてくれる時間だから。
賢者タイムは「自分の扱い方の練習場」
最後に、ぼくがいちばん伝えたいことをまとめるね。
賢者タイムは、きみの弱さが暴かれる時間じゃない。
きみが
自分をどう扱うか
を、少しずつ学んでいける練習場なんだ。
強い虚しさが来たとき
それをそのまま真実と見なして自分を殴るのか
それとも
ああ、今は揺れているんだな
と少し距離を置いて眺めてあげるのか
自己嫌悪が湧いたとき
自分を罵倒する言葉を重ねるのか
それとも
今日はつらかったんだな、よく生きて帰ってきたな
と、小さくねぎらうのか
パートナーがいるなら
何も言わずに黙り込むのか
それとも
今、少し気持ちが落ち着く時間がほしいだけなんだ
と、一言添えるのか
その積み重ねで、
賢者タイムは
自分を裁く時間から
自分と仲直りする時間に変わっていく。
きみは、本来とても繊細で、優しい。
だからこそ、揺れを強く感じてしまう。
でもね、それは弱さじゃない。
ちゃんと感じ取れるセンサーがあるということ。
そのセンサーを、
自分を傷つけるためではなく
自分を守るために使えるようになるまで、
ぼくはいくらでも隣を歩くよ。
賢者タイムが来たとき
あ、またあの時間か
ブレイブが言ってたやつだな
そんなふうに、思い出してくれたらうれしい。
きみは、一人じゃないからね。





