「立ちっぱなしで足がパンパン…」「一日中座っていると腰がガチガチ…」
現代の働き方は、大きく「立ち仕事」と「座り仕事」に分かれます。どちらも一長一短があり、健康や寿命に影響を与えることが近年の研究で分かってきました。
この記事では、ブレイブの視点から「立ち仕事」と「座り仕事」のリスクとメリットを比較し、より健康的に働くための工夫を紹介します。
「結局どちらが身体に良いの?」という問いに、一緒に答えを探していきましょう。
目次
立ち仕事が健康に与える影響
メリット
- エネルギー消費が増える
座っているよりも立っている方が、1時間あたりで約10〜20kcal多く消費すると報告されています。小さな差ですが、一日8時間立ち続ければ100〜160kcalの差となり、体重管理に有利です。 - 血糖値の改善に寄与
食後に立ち歩きすることで血糖値の上昇が抑えられることが分かっており、糖尿病やメタボリックシンドロームの予防に繋がる可能性があります。
デメリット
- 足腰への負担が大きい
長時間の立ち仕事は、ふくらはぎや腰の筋肉に常に負担を与え、慢性的な腰痛や下肢の疲労を招きやすいです。 - 静脈瘤のリスク
下半身に血液が滞りやすく、下肢静脈瘤を発症する可能性が高まります。 - 集中力の低下
長時間立ち続けると疲労が蓄積し、集中力や作業効率の低下にもつながります。
👉つまり立ち仕事は「消費エネルギーや代謝には有利」ですが、「下半身の血流トラブルや腰痛」など別のリスクがあるのです。
座り仕事が健康に与える影響
メリット
- 身体の負担が少ない
立ちっぱなしに比べて足腰への負荷が少なく、安定して長時間作業ができます。 - 集中しやすい
デスクに向かってじっくり取り組めるため、知的労働やクリエイティブな仕事に向いています。
デメリット
- 長時間座ることによる生活習慣病リスク
1日8時間以上座り続ける人は、心血管疾患や糖尿病、早死のリスクが高まるという研究があります。 - 血流の悪化
下半身の血流が滞り、エコノミークラス症候群のような静脈血栓の危険が生じやすくなります。 - 姿勢の悪化
猫背や巻き肩など、姿勢の乱れが肩こり・首こりの原因になることも。
👉座り仕事は「集中力や作業効率には有利」ですが、「長時間化すると寿命を縮めるリスク」も報告されているのです。
「座りすぎ」に潜むリスクと、その理由
立ち仕事と座り仕事の健康影響を語る上で、特に注目すべきは「長時間の座位によるリスク」です。
WHOや米国心臓協会は「1日8時間以上の長時間座位」は心血管疾患や糖尿病、がん、さらには寿命短縮とも関連する可能性を警告しています。
なぜ座りすぎが体に悪いのか?
大きな要因は「血流停滞」と「代謝低下」にあります。
- 下半身の筋肉(特に太ももやふくらはぎ)は第二の心臓と呼ばれ、歩行や立位によって血液を心臓に戻すポンプの役割を果たしています。座って動かさない状態が続くと、このポンプが働かず血流が滞りやすい。
- さらに、筋肉が活動しないことでエネルギー消費が落ち、血糖や中性脂肪が体内に滞留しやすくなる。これが生活習慣病リスクの上昇につながるのです。
とくに「仕事柄ずっと座りっぱなし」という人は、自覚のないままリスクを抱えている可能性があるため、日常的に工夫が必要です。
「立ちすぎ」に潜む落とし穴
一方で、立ち仕事にもリスクがあります。
オランダやカナダでの疫学研究によると、長時間の立位を強いられる人は、心臓病や下肢静脈瘤、腰痛・関節痛のリスクが高まることが報告されています。
立っているだけで「健康的」と思いがちですが、静止状態での立位は筋肉が緊張しっぱなしになり、血管や関節に負担がかかります。
特に販売職や工場勤務など「移動の少ない立ち仕事」では、血液が下半身に溜まりやすく、心血管リスクが座り仕事と同等か、それ以上に高い場合もあるのです。
つまり、「座りすぎも危険、立ちすぎも危険」。大切なのは「動きを交えながらバランスをとること」に尽きます。
解決のカギは「姿勢を変える」こと
座り仕事・立ち仕事、いずれも健康への影響がある以上、最も効果的な対策は「姿勢を一定にしない」ことです。
オフィスで座っている場合は、
- 30〜60分に一度立ち上がって歩く
- ストレッチやスクワットを軽く行う
立ち仕事の場合は、
- 足の位置を入れ替える
- 片足を踏み台に置く
- 時々座って腰を休める
といった工夫が有効です。
重要なのは「一日の中で立ちと座りを切り替える」こと。
近年注目されるスタンディングデスクも、座りっぱなしの対策として有効ですが、「立ちっぱなし」にならないよう注意が必要です。座りと立ちを交互に切り替えられる可動式のデスクが理想的とされています。
「寿命を延ばす働き方」のポイントまとめ
最後に、本記事の要点を整理します。
- 座り仕事は血流停滞・代謝低下により生活習慣病や寿命短縮リスクを高める
- 立ち仕事も、下肢静脈瘤・腰痛・心疾患リスクを高める
- 「立つ/座る」どちらが良いかではなく、「同じ姿勢を長く続けないこと」がカギ
- 1時間に一度の小休憩やストレッチ、姿勢の切り替えを意識するだけでも寿命リスクは下げられる
つまり、立ち仕事と座り仕事の「どちらが長生きに良いか?」という二択ではなく、日常に「動きと変化を取り入れること」が、寿命を延ばす最大の秘訣です。
まとめ|「体を動かす小さな工夫」が未来を変える
働き方が寿命に与える影響は、決して「立ち仕事 VS 座り仕事」の単純な話ではありません。
本当に重要なのは「同じ姿勢を続けない」こと。そして「体を動かす小さな工夫を積み重ねる」こと。
今日、椅子から立ち上がって水を飲みに行ったり、通話を立って行ったりするだけでも、将来の健康リスクは確実に減らせます。
日常のわずかな行動が、未来の自分の寿命を左右するのです。
「座りすぎず、立ちすぎず、動きを混ぜながら働く」──
そのシンプルな習慣こそが、長寿への近道だといえるでしょう。





