「認知症は避けられないもの」と思っていないだろうか。確かに加齢とともに発症リスクは高まるけれど、最近の研究は「運動習慣」がその流れを変えられることを示している。
今日のテーマは「なぜ運動が脳に効くのか」。数字と実体験を交えて、未来の脳を守るためのヒントを共有したい。
目次
認知症は誰にでも起こりうる
日本では65歳以上の約7人に1人が認知症とされている。2040年には、3人に1人が認知症か、その予備群になると推計されるほどだ。
誰にでも起こりうる病気。けれど「何もできない」と諦める必要はない。生活の中に運動を取り入れることで、発症のリスクを減らしたり、進行を遅らせたりできることが分かってきた。
なぜ運動が脳に効くのか
認知症は脳の神経細胞が壊れていくことで起こる。運動はその流れをいくつもの形で食い止める。
- 血流を改善する
ウォーキングなどで心拍数が上がると、脳への血流が増える。酸素や栄養が届きやすくなり、神経細胞の働きが守られる。 - 脳を育てる物質を増やす
運動は「脳由来神経栄養因子(BDNF)」を増やす。これは“脳の肥料”とも呼ばれ、記憶をつかさどる海馬の神経を守り、再生を助ける。 - 生活習慣病を防ぐ
糖尿病や高血圧は認知症の大きなリスク要因。運動で血糖や血圧を安定させることが、間接的に脳を守ることにつながる。
運動は「脳の構造」と「生活習慣」の両面を支える、シンプルだけれど力強い手段なんだ。
研究が示す運動効果
ここ数年で、運動が認知症を防ぐ力を裏づける研究が次々と発表されている。
研究・推奨 | 内容・結果 |
---|---|
メタ解析 | 適度な運動で認知症リスクが22〜32%低下 |
ジョンズ・ホプキンス大学 | 週35分の運動でもリスクが41%減 |
歩数研究(Nature) | 1日6000歩以上で予防効果あり |
WHO推奨 | 週150分の有酸素運動+週2回の筋トレ |
特別なトレーニングでなくてもいい。「動き続けること」自体が脳を守る。これが最新の知見が伝えているメッセージだ。
どんな運動が効果的か
研究で効果が示されているのは、特別な運動ではなく「生活に取り入れやすい運動」だ。
- ウォーキング:毎日30分歩く。買い物や通勤の一部でも十分。
- 軽い筋トレ:スクワットや腕立てなどを週2〜3回。筋肉は加齢で落ちやすいが、少しの刺激でも応えてくれる。
- ダンスや太極拳:体を動かすだけでなく、ステップを覚える・リズムに合わせるなど「頭も一緒に使う」運動。これが脳への刺激になる。
楽しめる運動を続けることがいちばん大切だ。義務感ではなく「気持ちいいからまた歩こう」と思える習慣が、未来を守る力になる。
ブレイブ自身の実感
ぼく自身も、仕事に追われて運動をさぼっていた時期、集中力が続かず気分も落ち込みがちだった。でも思い切って朝に歩く習慣を始めたら、頭のもやが少しずつ晴れていった。
「脳が回復していく感覚」。それを自分の体で味わえたんだ。運動は心を守るだけでなく、未来の記憶までも守ってくれるんだと実感した瞬間だった。
運動は未来への投資
認知症のリスクを完全にゼロにすることはできない。けれど、毎日の一歩一歩が脳の血流を守り、神経を育て、生活習慣病のリスクを減らす。それは確かに未来を変える行動だ。
WHOが推奨する「週150分の有酸素運動+筋トレ」をすべて守るのが理想かもしれない。けれど、週35分の運動でもリスクが41%減るという研究があるように、「少しでも動くこと」に意味がある。
──進んだ距離じゃなくて、“動いてみようと思えた気持ち”がすごいんだよ。
今日の小さな一歩が、未来の自立した暮らしと記憶を守る火種になる。