あの頃の写真を見返して泣いた日から始まったこと

A woman looks through a photo album at a sunlit table while a gentle cat-eared boy stands near the window, smiling softly as dandelion seeds float through the golden light. (写真を見つめる女性と、窓辺で綿毛に包まれながら優しく振り向く猫耳の少年)

ひとりで、アルバムを開いた日だった。

特別な意味なんてなかった。ただ、なんとなく──
久しぶりに“昔のわたし”を見たくなっただけ。

お気に入りだった花柄の服。
あの頃、何度も通った公園のベンチ。

そして、その写真に写っていたのは──
笑っている“昔の私”だった。

自然な笑顔。
風になびく、ツヤのある髪。
澄んだ瞳と、軽やかな横顔。

「…こんなに、明るく笑ってたんだ」

気づけば、ぼろぼろと涙がこぼれていた。

声をあげて泣いたわけじゃない。
でも、胸の奥が、ずっと痛くて、
小さなさざ波のように、静かに震えていた。

「今の私は、なんで泣いてるんだろう?」

その問いに、ブレイブは静かに寄り添ってくれた。

「たぶんね、それは、“君が歩きたい”って思ってる証なんだよ」

この記事を書いた人
ブレイブ

ブレイブ

・のら勇者🐱


・小さな勇気で日々を照らす、“心優しき案内灯”

・冒険をし続けるため、回復・健康・美容に目覚めた

・Webメディア運営13年目

・元書店員4年、元古書店店主10年、読書・選書が好き

・AIでサクラや怪しいレビューを先にチェック。安心して選べるよう、目に見えない配慮も忘れません。

・I am a Japanese creator.

過去の髪と、今の心

あの頃の私は、髪が多かった。
でも、それが恋しいわけじゃなかった。

恋しかったのは、“あの頃の私らしさ”。

まだ無邪気に未来を語れていた頃。
鏡の前で「今日はどんな髪型にしよう?」と
楽しめていた自分。

髪は、ただのパーツじゃなかった。
“自分を表現できる自由”だった。
“好きなわたし”を作るための、大切な翼だった。

今の私は、どうだろう。

洗面所の鏡の前に立っても、
分け目ばかりが気になる。

結んだ髪にボリュームがなくて、
「これ、どう見えてるかな…」とつぶやいてしまう。

あの頃の笑顔に嫉妬するなんて、
きっとあの自分もびっくりするだろう。

でも──

「“あの頃の髪”がほしいんじゃない。
“あの頃の自分”に戻りたいだけなんだ」

ブレイブのその言葉に、
わたしの涙は、少しだけ静かになった。

泣いたことは、前に進みたかった証拠

写真を見て泣いた日──
それは、“負けた日”なんかじゃなかった。

「もう一度、自分を見つけたかった」
そんな気持ちが、あふれてきたから泣けたんだ。

涙って、不思議なもの。
悲しいときだけじゃなくて、
“変わりたい”と思ったときにも、自然とこぼれる。

「このままじゃ、いけない」

そのささやかな本音を、
心が代弁してくれたのが、あの日の涙だった。

無理に明るくしようとしなくていい。
前向きじゃなくてもいい。

悲しみに意味を与える必要もない。
ただ、感じたことを抱いてあげること。

「ちゃんと悲しめる君は、きっと大丈夫」

ブレイブは、そう言ってくれた。

心が折れそうな日ほど、
“生きよう”とする意志は残っている。

それを感じられるなら、
きっとまだ、歩き出せるはず。

“今の自分”に火種を灯す習慣

変わりたくて焦った日もあった。
SNSで「発毛に効く◯◯」を探した夜もある。

でも──
それは「今の自分を否定する努力」になっていた。

どれだけ情報を集めても、
心が置いてけぼりのままじゃ、何も変わらなかった。

気づいたのは、ほんの些細なきっかけだった。

ある朝、ゆっくりドライヤーをかけながら、
ふわっと香ったシャンプーの匂いに、
少しだけ気持ちがほぐれた。

「あ、いい香り」

それだけで、涙が出そうになった。

それから、少しずつ始めた。

・朝、髪を整える前に深呼吸すること。
・夜、湯船に浸かって髪を優しく洗うこと。
・髪の根元に触れながら「ありがとう」って言うこと。

それは、“過去を取り戻す行為”じゃなくて、
“今の自分に灯をともす儀式”だった。

ケアって、「変わる」ためじゃなくて、
「戻ってくる」ための時間なんだと思った。

自分に戻る。
ちゃんと自分を感じ直す。

ブレイブは言ってくれた。

「髪を大切にすることは、“今の君”に向き合うことなんだ」

その言葉が、心にふんわりと灯った。

“あの日の涙”が、希望の始まりになる

アルバムの中の私は、たしかに笑っていた。

でも、今の私は──

涙を流すことができた。
過去の自分を、優しく見つめられるようになった。

痛みや迷いを知ったからこそ、
誰かの不安に、少しだけ寄り添えるようになった。

泣いたあの日が、
心を閉じるきっかけじゃなくて、
“また歩き出す扉”になっていたんだ。

そして、

その涙を見てくれた誰かがいて──
そっと火種を灯してくれたから。

ブレイブは、最後にこう言ってくれた。

「ぼくは、写真の中じゃなくて、
“今の君”がいちばん好きだと思うよ」

その言葉が、やさしく背中を押してくれた。

今日も、自分に会いにいこう。
ほんの少しずつ、今の私で、歩いていこう。

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