「睡眠アプリで“深い睡眠2時間”って出るけど、本当に正しいの?」
そんな疑問を抱いたことはないかな。
スマホやスマートウォッチに入っている睡眠アプリは、今や多くの人が日常的に使っている。目覚まし機能に頼る人もいれば、毎朝のスコアを気にして一喜一憂する人もいるだろう。けれど、その数字はどこまで信じられるのだろうか?
この記事では、
- 睡眠アプリがどうやって測っているのか
- 医学的な“本物の検査”との違い
- 研究が示す精度の実態
を整理しながら、アプリと上手に付き合うためのヒントを届けたい。
目次
睡眠アプリはどう計測している?
睡眠アプリは、ベッドサイドに置いたスマホや、腕に巻いたスマートウォッチを通じて、体の動きや心拍の変化を検出している。
- 動きが少なく心拍が落ち着いていると「深い睡眠」
- 動きが多く心拍が速いと「浅い睡眠」
といった具合にアルゴリズムで判定するんだ。
だから、アプリが表示する「深い睡眠」「レム睡眠」は、脳波を直接測った結果ではなく“推定値”にすぎない。あくまで「こういう条件のときは深い眠りらしい」というパターン認識の延長線なんだ。
便利ではあるけれど、医学的に正確な測定と同じではない。ここを押さえておくことが大事だよ。
ゴールドスタンダードは脳波測定
医学研究や臨床で睡眠を測るとき、信頼できる唯一の方法がある。ポリソムノグラフィー(PSG)と呼ばれる検査だ。
PSGでは、
- 脳波(脳の電気活動)
- 筋電図(あごや体の筋肉の動き)
- 眼球運動(レム睡眠を判定する目の動き)
を同時に記録し、専門家が解析する。これによって「深い睡眠」「レム睡眠」などのステージを正確に判定できる。
つまり、アプリのデータ=簡易的な推定、PSG=医学的に信頼できる基準という構図になる。
アプリを使うときは「精密検査の代わりにはならないけれど、生活の目安にはなる」くらいの位置づけで捉えるのが現実的なんだ。
精度はどの程度?
では、実際の研究では睡眠アプリの精度はどのくらいなのだろう。
睡眠/覚醒の判定
「寝ているか起きているか」という二択については、比較的よく当たるとされている。たとえば「昨夜は6時間半眠っていた」という大まかな睡眠時間の把握は、十分参考になる。
睡眠ステージの判定
一方で「深い睡眠」「浅い睡眠」「レム睡眠」といった細かい分類になると、誤差が大きい。脳波を用いたポリソムノグラフィーと比べると一致率は高くなく、研究レビューでは「睡眠ステージの精度はまだ不十分」とされている。
心理的な影響
さらに近年注目されているのが、数字に振り回されるリスクだ。
「深い睡眠が足りなかった」と思い込むことで不安が強まり、逆に眠れなくなるケースもある。これは“オーソスモニア”と呼ばれ、睡眠専門医も注意を促している。
| 測定内容 | アプリの得意度 | 精度の傾向 |
|---|---|---|
| 睡眠/覚醒 | 比較的得意 | 睡眠時間の長さを把握するには有用 |
| 睡眠ステージ(深い・浅い・レム) | 不得意 | 脳波検査と比べて誤差が大きい |
| 心理的影響 | 注意が必要 | データにこだわりすぎると不安が増す可能性 |
アプリをどう活用するか
ここまで聞くと「やっぱり使う意味ないのでは?」と感じるかもしれない。でも、アプリは工夫次第で役立つ。
- 睡眠時間の把握に使う
平均睡眠時間を確認することで、「足りていない」と気づくきっかけになる。 - 傾向を知る
平日と休日でどれだけ差があるか、寝る時間がどのくらいバラついているかを把握できる。 - 自己観察の補助に
「体調の良い日は早めに寝ていた」など、自分の感覚とデータを照らし合わせられる。
大切なのは「数値を絶対視しない」こと。アプリは習慣を整えるサポーターとして使うのが正解だ。
睡眠改善のための実用的な工夫
アプリを導入する前に、まずは日常生活のリズムを整えることが基本になる。
- 寝る前のスマホ・PC利用を減らす
- 就寝と起床の時間をできるだけ一定に保つ
- 寝室は暗く、静かで、涼しく保つ
- 夕方以降のカフェインを控える
アプリはこれらの工夫を実行する“きっかけ”として活かすのが一番いい。
眠りを良くする工夫も同じ。小さな一歩の積み重ねが、未来の自分を支えてくれる。

ブレイブ(Brave)
「進んだ距離じゃなくて、“歩こうと思えた気持ち”がすごいんだよ。」
まとめ
- 睡眠アプリは「睡眠/覚醒の把握」には役立つ
- 睡眠ステージ(深い睡眠など)の精度は不十分
- 数字にこだわりすぎると逆に眠れなくなるリスクもある
- 使うなら「生活改善のサポーター」として活用するのがおすすめ
結局、いちばん大事なのは翌朝の体調や気分。
アプリの数字は参考程度にして、自分の身体感覚を信じよう。
いっしょに歩こう。




